光や電子は粒子であり波動でもある、という「粒子と波動の二重性」について聞かれたことがあるかもしれません。また、電子の運動量をきっちりとした値で測定するために、運動量のあいまいさを小さくしようとすると、電子の位置のあいまいさが大きくなってしまいます。このあいまいさは目盛りの読み取りなどによる測定誤差ではなく、粒子と波動の二重性による本質的な不確定性です。
このように量子力学では、皆様の常識と合わない結果に遭遇します。「わかる量子力学」の授業では、どのような実験結果を説明するために、常識とかけ離れた量子力学の理論が必要になったのか、その実験内容の紹介から解説を始めます。その際、熱力学の解説も少し入ります。
授業では、数式を用いて計算しながら理解を深め、将来の天文学研究の場面にも「使える」量子力学を修得していきます。(なお、数式が嫌いな方は、課題を無視していただいて結構です。)
テキストとして「わかりやすい量子力学入門 原子の世界の謎を解く」高田 健次郎 著丸善出版(2,500 円+税)を使用します。天文学のデータ解析に必要となる内容を補足するときは、追加の資料をその都度お渡しします。
秋学期は後半の6回プラス補講の全7回として第7回から第13回までを開講します。
<講義内容>
① 原子の発見、分子の運動 (テキスト1章1.1~1.5)
② 電子の発見 (テキスト1章1.6~1.8)
③ 放射能の発見、トムソンの原子模型 (テキスト2章)
④ ラザフォードの原子模型 (テキスト2章後半)
⑤ 熱とは何か、ボルツマン分布 (テキスト3章3.1~3.3)
⑥ プランクの考え、エネルギー量子(テキスト3章3.4~3.8)
⑦ 原子のスペクトル、ボーアの量子論 (テキスト4章)
⑧ 波動方程式 (テキスト5章5.1~5.3)
⑨ 不確定性原理、確率解釈 (テキスト5章5.4~5.5)
⑩ エネルギー固有値、トンネル効果(テキスト5章5.6~5.8)
⑪ 粒子性と波動性 (テキスト6章)
⑫ 水素原子の固有状態 (テキスト7章7.1~7.2)
⑬ 元素の周期律、光の量子力学 (テキスト7章7.3~7.5)
※受講生の皆様の質問に対応するため、講義内容を追加したり、順番を入れ替える可能性がございます。
単発のご参加・見学の方は、事前に進度とスケジュールをお問い合わせください。
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