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*今月のまとめ*


1.彗星核には、塵と氷が含まれています。彗星核表面は豊富な塵に
 覆われており、氷のほとんどは彗星核の内部に存在しています。

2.彗星核の塵には主にケイ酸塩鉱物(オリビン、パイロキシンなど)が含まれ
 ています。一部、炭素質の塵も存在していることがわかっています。

3.彗星の氷には主に水、二酸化炭素、一酸化炭素が含まれています。
 極微量ではありますが、有機分子(C、H、O、Nを含む分子)も含まれています。



彗星の成分を知るために、分光観測という手法が広く用いられています。
分光観測によって、各波長ごとの明るさを示した図(スペクトルが)得られますが、
その中に分子や原子に起因した「輝線」と呼ばれる、特に光の強度が大きい波長
があることがわかります。
この輝線の波長と、実験室で得られたデータと照らし合わせることによって、
彗星にどんな原子や分子が含まれているのかを調べていきます。
専門的には分子や原子を「同定する」といいます。


Q.以下のスペクトルを示す彗星には、どんな分子が含まれているでしょうか?
 (1)~(10)の輝線について調べてみましょう。  




様々な分子種の波長[μm]
HCN 3.017 3.025 3.028 3.031 3.034 3.036 3.039 3.042
C2H2 3.024 3.026 3.029          
NH3 3.035              
NH2 3.005 3.014 3.026 3.028 3.029 3.031    
H2O 2.889 2.891 3.028 2.892 2.896 2.898 2.899  

ヒント:波長をよく見てみましょう


・スペクトルの明るい部分(輝線)の波長と、分子の波長との比較して、
 分子の特定を行います。 
・分子によっては同じような波長に輝線を示すものもあります。
 つまり、1つの輝線のように見えるものでも、1つの分子から出ている
 とは限りません。


小林仁美による6月号の"生"解説
配信終了しました。
ご覧下さった皆様、ありがとうございました。